3G雨量情報防災システム
3G雨量情報防災システム RIDPSの概要
「3G雨量情報防災システム」は、雨量計と「3G雨量情報通信ユニット」で構築した、雨量情報防災システムです。
降雨状況をHPに逐次表示するとともに、地域毎にあらかじめ設定された降雨量の基準値を超えた場合、注意報や警報などを発信することができ、防災対策に活躍します。
沖縄県雨量情報防災システム(仮題)」のご提案
咋近は世界的な異常気象の広がりで、局地的に発生する豪雨やその影響による土砂災害などの被害が増加傾向にあります。
沖縄県は広い海洋面積に島々が点在し、世界でも有数の美しい自然環境に恵まれています。しかしその一方、自然が牙を剥いたときの守りは脆弱で、災害に対する備えは十分とは言えません。
沖縄県の年間降雨量は約2000ミリ以上(那覇市)で、月平均降雨量も100ミリを下回ることが少なく、日本国内の他の県に比べても、降雨量がかなり多い地域です。また、梅雨や台風の影響もあり、この時期には特に降雨量が増大します。
以下は、沖縄県の25個所に雨量計を設置し、県内全域の集中豪雨や土砂災害などの防災対策を想定した、「沖縄県雨量情報防災システム(仮題)」の構築例のご提案です。
刻々と変化する沖縄県全域の降雨状況を、HP上のアイソメ・雨量バーグラフでリアルタイムに表示し、あらかじめ設定した降雨量に達すると、注意報や警報などを発信します。
本システムは、雨量が設定値を超えた場合、該当地域の住民に注意を喚起するための、注意報や警報などの基準値を、各地域毎に設定することができます。(気象庁が発表する注意報や警報の基準値ではなく、沖縄県独自で定めた基準値です)
システムのHPイメージ
HPの沖縄県全域の地図上に、25ヶ所(最大63ヶ所まで増設可能)に雨量計を設置し、その設置場所とその場所における雨量を表示します。
それぞれの雨量計の設置場所には、雨量の数値表示とともに、その数値に比例して伸縮するアイソメ雨量バーにより、直感的にわかりやすいように表示します。
HPの下部には、「10分雨量」、「時間雨量」、「日雨量」、「累積雨量」の各ボタンがあり、そのボタンを押すと、それぞれの雨量情報画面に切り替わります。
HPの上部左側スペースには、注意報や警報などが発生した場合、その発生した日付と場所のログ情報を、発生時刻順に表示します。
雨量情報の種類と説明
10分雨量 | ある時刻から10分間に降った雨の量。ここでは,毎時00分,10分,20分,30分,40分,50分のいずれかを起点にした雨量。 |
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時間雨量 | ある時刻から1時間の間に降った雨の量。ここでは、1時00分、2時00分、2時00分、3時00分、3時00分、4時00分,というように毎時00分を起点にした雨量。(正時時間雨量) |
日雨量 | ある時刻から24時間に降った雨の量。ここでは、本日の0時にリセットされ、24時までの24時間雨量。 |
累積雨量 | 雨が降り始めてから現在までの雨量の合計。8時間雨が降らなければリセットされる。 |
雨量バーの表示
雨が降ってない場所では、雨量計の数値の「0.0」と、設置場所名が表示されます(上図の「奥」参照)。
降雨量が0.5ミリに達すると雨量計が感知し、雨量計の数値の「0.5」と、雨量バーのベースが現れます(上図の「国頭」参照)。
雨が降り続くと、その雨量に応じてバーグラフが伸長します(上図の「本部〜座間味」参照)。
降雨量が11ミリ以上になると、バーに波マークが現れ、それ以上雨が降ってもバーは伸長せず、雨量の数値のみが変化します(上図の「粟国〜久米」参照)。
降雨量が「設定報」の数値(この例では20ミリ)に達すると、バーが緑色に変わります(上図の「宮古〜多良間」参照)。
同時に、地図上部左側スペースに、日付と場所、設定報発令のログ情報を表示します。このタイミングでサーバー側では、3色表示灯の緑色点灯とともにアラームが鳴ります。また必要に応じて、自治体であらかじめ定めた「設定報対応」を行います。
降雨量が「注意報」の数値(この例では30ミリ)に達すると、バーが黄色に変わります(上図の「北大東〜南大東」参照)。
同時に地図上部左側スペースに、日付と場所、注意報発令のログ情報を表示します。このタイミングでサーバー側では、3色表示灯の黄色点灯とともにアラームが鳴ります。また必要に応じて、自治体であらかじめ定めた「注意報対応」を行います。
降雨量が「警報」の数値(この例では40ミリ)に達すると、バーが赤色に変わります(上図の「石垣〜与那国」参照)。
同時に地図上部左側スペースに、日付と場所、警報発令のログ情報を表示します。このタイミングでサーバー側では、3色表示灯の赤色点灯とともにアラームが鳴ります。また必要に応じて、自治体であらかじめ定めた「警報対応」を行います。
設定報、注意報、警報の説明
設定報(〇〇ミリ) | 雨量防災対策の一次対応(初期対応)の開始 |
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注意報(〇〇ミリ) | 災害が起こる恐れがあり、念のため、該当地域に注意の呼びかけを開始 |
警報(〇〇ミリ) | 災害が起こる可能性があり、該当地域に警戒の呼びかけを開始 |
*注 上記各設定値は、気象庁が発表する注意報や警報の基準値ではなく、県独自の数値です。
注意報や警報などの設定に関して
本システムでは、雨量計を設置した全ての地域毎に、設定報、注意報、警報の各設定値を、10分雨量、時間雨量、日雨量、累積雨量のそれぞれに対して、設定、表示、変更することができます。(左図は本システムの設定画面)
具体的には、左図の選択ボタン(▲▼)を押すことで、雨量計の設置場所(奥[01] 〜 南大東[25])が順次表示され、その場所における設定報、注意報、警報の設定値が表示され、この数値を修正することで、設定値を変更できます。
注意報や警報の設定に関しては、降雨(大雨・台風・梅雨・局地的集中豪雨(ゲリラ豪雨など)に対する該当地域の脆弱性や、「土壌雨量指数」(下部の参考資料を参照)などを考慮して決定します。
注意報や警報などの設定のための参考資料
土壌雨量指数(気象庁)
土砂災害警戒情報・土砂災害警戒判定メッシュ情報(気象庁)
沖縄県地図情報システム(沖縄県提供)
防災気象情報
沖縄県雨量情報防災システム構成図
上図は、沖縄県雨量情報防災システム(仮題)の構成図です。
雨量計と3G雨量通信ユニットで構成された観測ユニットを、沖縄県全域の25ヶ所(Max63ヶ所)に設置します。(構成図の左側)
観測局通信ユニットのアンテナから発信された電波は、携帯電話用通信網からインターネット回線を経由し、ルーターを通ってメイン処理装置で受信します。(構成図の中央部)
メイン処理装置にはノート型PCを使用し、記憶装置にはSSD(ソリッドステートディスク)を採用し、処理速度と信頼性の向上を計っています。なお、外部接続されたHDD(ハードディスク装置)は、システムやデーターのバックアップを行います。(構成図の中央部)
メイン処理装置で受信し加工したHP情報は、ルーターを通して外部のインターネットに配信し、全国のPCやスマホで閲覧することができます。(構成図の上部)
また、大型ディスプレイを採用し、沖縄県全域のリアルタイムな降雨状況を大画面で見ることができ、注意報や警報の発生時は、3色警告灯により、光と音で異常発生を知らせます。(構成図の中央右部)
なお、沖縄県では台風発生や集中豪雨(ゲリラ豪雨)も多く、それらによる停電に備えるため、UPS(無停電電源装置)を設置します。(構成図の中央下部)
メイン処理装置で収集した雨量データーはデーターベースに蓄積し、一覧表作成やファイル出力、日付を指定して、日報や月報、年報などの集計処理、 グラフ表示などを行うことができます。